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カカオマス?カカオニブ?カカオバター?違いとチョコレートの製法・製造工程を解説

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今や空前のブームとも言えるチョコレート。
その需要は増加傾向にあるといわれています。


さて、そんなチョコレートがカカオ豆というものから出来ているというのはなんとなくご存知だと思います。


しかしどうやってカカオ豆が私たちの知るチョコレートになるのかを知っている人は少ないかもしれません。


そこでここでは、カカオニブやらカカオバターやらカカオマスやらとやこしいキーワードもでてくるチョコレートの製造工程を順を追って確認してみましょう。


本記事を読むことでアナタもチョコレートにより深い愛情を注ぐことが出来るようになることでしょう!

チョコレートの原料はカカオ豆

カカオ豆とそこから生まれるチョコレートの魅力

チョコレートの原料はカカオ豆です。


ではカカオ豆とはなにかというと、カカオの樹になる果実の中にある種のことなんですね。


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カカオの果実。カカオポッドとも



カカオはアフリカ、東南アジア、中南米をはじめとする高温多湿の熱帯気候でしか育ちません。


さらに多種多様の品種が存在し、地域ごとに味の特徴が異なるためより嗜好性の高い食材として注目度を高めています。


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カカオ豆。豊富な栄養価から古来より現地では滋養強壮の食材として、ヨーロッパなどでは王侯貴族にのみ許される高級食材。



ビーントゥバーフェアトレードの動き、チョコレートを作る職人・ショコラティエのスター化(毎年開催されるサロンドショコラなどでは有名ショコラティエにサインを求める長蛇の列が出来るとか)に伴いチョコレート業界はお菓子の一分野というポジションから独立した食分野として認知されつつあります。



ビーントゥーバー(Bean to Bar)
製造者自らがカカオ豆(ビーン)を独自のルートで仕入れてバー(多くの場合主力商品はカカオの個性が出やすい板チョコ)に加工して作られるチョコレートやブランド。


フェアトレード
開発途上国で主に生産されるカカオ豆を消費国である先進国が自分たちの利益のみを追求せず、生産者にもしっかりと還元する公平な取引を行うこと


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日本を代表するビーントゥーバーブランド・ミニマル。カカオの産地やデータを細かく書き出した通好みのパッケージも魅力。


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筆者お気に入りのBaen to Barブランドのひとつ、ショコル。ユニークな商品名とクラフト感あふれるチョコレートが食べていて楽しい。


カカオ豆の3品種と産地

カカオ豆には多種多様な品種が存在しますが、大きく分けて栽培されている品種は三つ。


独特の芳醇な香りから近年特に高級チョコレートに使用されるクリオロ種、栽培が容易で苦味の強いフォラステロ種、この二種を配合して作られた汎用性の高いトリニタリオ種があります。


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イタリアのドモーリ社のスタンダード商品イルブレンドは6種のカカオマスを配合。ドモーリは古代種でもあるクリオロ種に目をつけ、また単一品種のチョコレート商品をいちはやく展開したブランドでもある


カカオ豆を収穫できるカカオの樹は高温多湿の熱帯で、赤道をはさんで北緯20度から南緯20度圏内と限られており、この条件にあてはまる地域をカカオベルトと呼んでいます。


具体的には中南米、アフリカ、東南アジアが挙げられ、これはコーヒー豆の産地とも共通している部分が多いです。



チョコレートの産地


カカオ豆を最も多く生産しているのはコートジボワールで、次いでガーナ、インドネシアと続きます。


日本で輸入されているカカオの大半はガーナ産ですが、近年ではBean to Barの流れからさまざまな国のカカオ豆を口にする機会が増えてきました。


加工の仕方にもよりますが、産地ごとに大まかな味の特徴があり、その個性をどのように活かしてチョコレート、チョコレート菓子へ変身させていくのかが各ブランドの腕の見せ所ですね。


市場に出回っているチョコレートの多くはこれらのカカオをブレンドして作られていますが、最近では単一品種・・・さらには単一地域などに拘ったチョコレートも作られるようになりました。


これらはまさにお茶やコーヒー、お酒のような嗜好品で見られる原料の産地や品種を活かして生み出される個性を嗜む楽しみ方と共通しています。


こうした楽しみ方は突き詰めると非常にマニアックで、一度ハマると抜け出せないチョコレート魅力のひとつになっているといえるでしょう。


カカオニブ、カカオマス、カカオバターの違い

カカオ豆がチョコレートになるまでにはとても長い道のりがあります。


まずはチョコレート作りのキーワードでもある混同しがちな三つの用語について最初にまとめておきましょう。


  • カカオニブとはカカオ豆を砕いて殻を取り除いたものである
  • カカオマスはカカオニブをすり潰してペースト状にしたものを冷却して固めたものである(ペースト状のものはカカオリカー)
  • カカオバターはカカオ豆に含まれる油分でチョコレートのコクのもとでもある


カカオニブ



カカオマス



カカオバター


それぞれ加工された状態で販売もされています。


しかしこの説明だけでは少し分かりづらいですよね。


ここからはカカオ豆がチョコレートになる過程を説明しながら、より具体的にこれらのキーワードについて掘り下げていきましょう。

カカオの栽培

カカオ豆の産地では基本的に古くから伝統的にカカオ栽培が行われている農園が存在します。


糖分が充実した完熟のカカオポッドを見つけ出し収穫し、さらに繊細なカカオ豆を傷つけないようにカカオポッドを割って取り出します。


これらの作業は経験を積んだ農園の人にしかできない難しい仕事です。


チョコレートは嗜好性の高い食品で、基本的には発展途上国であるカカオ生産国で食べられることはありません。


現在こうした現状、生産構造に疑問を持つ人が積極的に生産者にもっと恩恵をもたらそうとする動きも出てきています。


チョコレートを楽しむ私たちも、パティシエやショコラティエはもちろん、カカオ豆自体の生産者が地球の反対側にいることを想像しながら、彼ら彼女らに感謝しながら楽しみたいものですね。

カカオ豆の加工~出荷まで

発酵

カカオ豆は収穫されたあと果実から種が取り出され発酵されます。


発酵期間はおよそ1週間ほどでバナナの葉につつんだり木箱に入れて発酵されます。


発酵はチーズ、ヨーグルト、味噌、コーヒー、お酒など身近な食材の非常に重要な製造工程です。


特にコーヒーやお酒の発酵は完成した製品が持つ香り成分の量や質にも影響するもので、いかに丁寧に発酵を行うかがクオリティや価格に直結します(その分だけ手間やコストがかかる)。


チョコレートが発酵という工程を経ているということは意外と知られていないかもしれませんが、カカオ豆もお酒やコーヒー同様にこの工程を丁寧に行わないと特有の香りを生み出してくれないんですね。


発酵は土着の微生物によって促進されるため、生産国や地域によって発酵のでき具合が変わってきます。


カカオ豆そのものの違いに加え、こうした要因も産地によって異なる味わいに繋がっていくのです。

乾燥

続いて乾燥です。発酵したカカオ豆は乾燥させられます。


乾燥は発酵を停止させるために行います。発酵は適度に行われれば芳醇な香りのもとを産み出しますが、いきすぎると不快な香りも生まれたりカビが発生したりしてデメリットが大きいのです。


そのために内部の水分をおよそ6%以下まで低下させます。


これによりカカオ豆は保存性も高まり、外国へ輸出することも可能になるというわけです。


乾燥は原則として天日干しによって行われますが、カカオ豆の採れる土地柄、曇天が続いたり湿度が高い時期は機械式の乾燥機が用いられることもあります。


しかし機械式の乾燥では乾燥スピードが早すぎたり、嫌な香りが残りやすくなるなどの問題点もあり、現場では常に試行錯誤が行われているようです。

出荷

発酵・乾燥されたカカオ豆は各国の基準を満たしたかどうかの検査を受けて出荷されます。


ビーントゥバーなどではカカオの収穫から乾燥までの一連の流れを直接視察して農家から直接買い取ることもあります。



こだわりのレストランが市場の仲卸業者からではなく、直接農家さんのところへいって食材を売ってもらうのと似たような感覚です。


しかしこの時点ではまだあくまでもカカオ豆という状態です。


ここからどのようにして私たちの知るチョコレートへと加工されていくのでしょうか?

カカオ豆の二次加工、カカオニブ、カカオマス、カカオバターとは?

カカオ豆は世界各国へ輸出された後にどのようにして私たちが食べる形へと成形されていくのでしょうか?


ここからの過程はメーカーによっても微妙な差異はありますが、大きな流れは一緒です。


消費者が混同しがちなカカオニブやカカオバターといった言葉もここで登場してきます。

洗浄・選別

まずはともあれお掃除です。


決して綺麗な状態とは言えない収穫から出荷までの一次加工を経て、まずは殺菌やゴミとりといったところから二次加工はスタートします。


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また無数にあるカカオ豆から品質の良くないものを弾き出すのもここでの重要な作業です。


コーヒーでいうハンドピック(コーヒーの味わいを落としてしまう悪いコーヒー豆を除去する作業)にあたる作業ですね。

焙煎

カカオ豆を焙煎します。この辺りもコーヒーと似たような工程を経るのが面白いですね。


焙煎をすることでカカオ豆の持つ旨味や香味を引き出していきます。



発酵したカカオ豆は主に酢酸由来の酸っぱい香りが強いのですが、焙煎を経ることでこうした雑味やえぐみを取り除き、逆に豊かな香りを引き出していきます。



メーカーのさじ加減で、作りたいチョコレートの味わいを描いて逆算しながら適度な焙煎を行っています。


最終的なチョコレートの味わいを決定する非常に重要な工程だといえるでしょう。

粉砕・分離

焙煎したカカオ豆は粉砕して殻とカカオニブに分けられます。


さて、いよいよキーワードが登場しました。カカオニブ


カカオニブとはカカオ豆の胚乳です。つまり今まで加工していたカカオ豆のさらに中心部にあたります。


外皮はここで取り除かれます。


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カカオニブはそれ自体は非常に苦く渋みのある食べ物だが、栄養価も高く近年ではスーパーフードとしても注目されている。写真はショコルというブランドのカカオニブに砂糖を絡めたお菓子。



もともとのカカオ豆から考えると実際にチョコレートの原料として使われるのはごくわずかであることが分かりますね。


また、調べたところではメーカーによって一部この作業を焙煎の前に行っているところもあるみたいです。

配合

メーカーや商品によってはここでカカオニブを複数種ブレンドします。


ブレンドすることによって単一では出せない複雑な味わいを引き出したり、より食べやすくバランスのよい味わいに仕上げます。


カカオ豆の持つ個性を活かすのであればあえてブレンドしない選択肢もあり、作りたい商品にあわせて選択されるというワケです。


"カレールゥを複数使うと美味しくなる"のと同じ原理ですね。

摩砕

摩砕はカカオニブを熱を加えながらすりつぶしてペースト状にする作業です。


なぜ個体であったカカオニブがすりつぶすと液状に近いペーストになるのでしょう?


カカオニブは半分くらいはカカオバターという脂肪分で出来ています。


カカオバターとはカカオ豆に含まれる油分のことで、これがチョコレートのもつコクのもとでもあります。


このカカオバターははじめは細胞の膜に包まれていますが摩砕によって膜が壊れて露出すると個体部分と混ざり合って乳化し、ペーストのような状態になるんです。


この半液状の状態のカカオニブはカカオリカーと呼ばれます。これが冷却され固体になったものがカカオマスです。


国内のチョコレート専用メーカー大東カカオのカカオマス。言ってみれば100%カカオのチョコレートです。

ココアにはカカオバターが含まれない

ココアはカカオニブからカカオバターを取り除いたもので、これを粉末にしたものがココアパウダーです。


一般販売されている溶かすだけで飲めるココアパウダーはここに砂糖や香辛料が加えられています。


フランスの超有名ブランドチョコレートメーカーのココア。美味しいです。


つまりココアとはチョコレート(の一部)を溶かした飲み物なのですが、カカオバターが含まれていないのでくどさはなくスッキリしています


ちなみにカカオバターの入ったチョコレートを溶かした飲み物はショコラショー(ホットチョコレート)と呼ばれ、ココアよりもリッチな飲み口が特徴です。



チョコレートへ加工

いよいよチョコレート作りは最終工程です。


この先の工程は複数のメーカーの提示している製法を見た限りでも結構差があります


最終的に口に入る形を作り出すプロセスなので作りたい味わいによって作り方は違ってくるのでしょう。

混合

まず味付け(混合とも呼ばれます)。つまり砂糖やミルク、カカオバターの追加、場合によっては香辛料などを添加します。


味に影響する部分以外でも植物油脂やレシチン(大豆由来の乳化剤)を加えてテクスチャーや作業効率を高める工夫も行われます。

レファイナー

舌触りを良くするため、さらに細かく微細化するレファイナーを行います。


レファイナーには専用の機械を用いますが、大手メーカーだと大きなローラー型の機械、小規模なメーカーだとメランジャーという電動の石臼を使うことが多いです。


ここでどこまで細かくするかで最終的なチョコレートの口当たりが決まってきます。


日本人はとかくなめらかな口当たりのものを求めがちとされていますが、事実日本のチョコレートは世界的に見ても群を抜いてレファイナーの工程で細かく仕上げるそうです。

コンチング

コンチェという機械で行う練りこみ作業でチョコレートの香り成分を引き出します。


短くても10時間から長ければ2~3日をかけて熱を加えながら練り込んでいくことで、チョコレートが持っているカカオ由来の雑味をよりしっかりと取り除き、風味を向上させていきます。


さらにココアバターを適宜追加したり、持っている油脂分が溶け出て入荷することで最終的にトロトロな状態へ持っていきます。


やりすぎるとカカオの持つ旨味まで抜けてしまいますが、短いと雑味が多く感じられるため絶妙なタイミングで行うことが求められます。

テンパリング

最後にテンパリングを行い、カカオバターの結晶を安定化させます。


熱をもったチョコレートは安定した状態ですが、これを冷やすとカカオバターがバラついた形で結晶化し口どけも見た目も悪くなります。


そこで大切なのがテンパリングで、これは複数タイプのあるカカオバターの結晶が特定の温度下において安定することを利用して加熱と冷却を温度管理しながら繰り返していくという作業です。


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テンパリング。メーカーでは機械作業のことも多いが、ショコラティやパティシエにとっては腕の差が出る繊細な作業。


よくホワイトデーに市販の板チョコを溶かして型に入れて冷やし固めたら美味しくなかったという話を聞きますが、これは市販のテンパリングされた製品を加熱したことでカカオバターの結晶が崩壊し、再びテンパリングが必要な状態になっていたためです。


手軽に作るのであれば加熱してからテンパリングして冷やし固める必要のあるチョコレートはおすすめできません。


テンパリングが済んだらあとは成形です。型に流し込んで冷却し、私たちの知っているチョコレートの形になります。

クーベルチュールチョコレートとは?

最近たまに聞くようになったクーベルチュールと呼ばれるチョコレートがあります。


一般的には製菓用のチョコレートと言われています。


その定義は"総カカオ固形分35%、カカオバター31%、無脂カカオ固形分2.5%、カカオバター以外の代用油脂を使わない"というものです。




これがなにを意味するかというと、チョコレートは二次加工の時点で口どけやコクを出すためにカカオ本来の油分(=カカオバター)以外の脂を添加することが許されています。


しかしクーベルチュールと名乗る場合はこれを禁止しかつ一定以上のカカオバターを有している、つまりカカオ本来の味わいにより近いものであると言うことが出来ます。


なぜこれが製菓用として適しているかというと、クーベルチュールの時点では砂糖の添加など以外でほとんど余計なものが入っていないため、これをさらに別のお菓子に加工するのが容易だからです。


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クーベルチュール。これを溶かして製菓やチョコレート菓子に用いる。



例えばパティシエさんがいちからカカオ豆を仕入れて加工するのはコスト的にみても労力的にみても非常に難しいことです。


大体のパティシエさんは既存の製品化されたチョコレートを溶かしたりして生チョコやらチョコケーキを作るわけですが、この時に例えば明治の板チョコを溶かしていたのでは自分の味を出すのは難しいのです(明治の板チョコはそれ自体が完成され過ぎているんですね)。


香辛料を入れたり、甘さを調節したり、形を変えたり、そのような作り手の自分らしさを出す加工性の高さは余計な物が入っていないクーベルチュールが適していると言うわけです。


もし自分でチョコレートを使ったお菓子を作るのであればぜひ一度クーベルチュールを使ってみてください。本格的な味わいに仕上げることができるはずです。

カカオマス?カカオニブ?カカオバター?その違いとチョコレートの製造工程を解説のまとめ

チョコレート作りはカカオ豆の栽培から一次加工を経て、メーカーによるカカオ豆の仕入れから二次加工、そして最終的な味付けを経て完成します。


カカオニブ、カカオマス、カカオバターといったキーワードも、あくまでチョコレートを加工する過程で出てくるものであることがわかりました。


最近では単体でも流通しているので興味のある方は探してみてはいかがでしょうか?


チョコレートの知識を高めて本格高級チョコレートから身近なお手ごろチョコレートまで、より楽しくかつ味わえるようになりましょう。


カカオニブ


カカオマス


カカオバター


最後に、今回の記事は筆者のいままで持っていた知識を改めてまとめると同時に、改めて情報をより正確なものにするためにいくつかの書籍やメーカーのWEBページを確認しました。


なかでも「チョコレートの手引き」(蕪木祐介著)は製法から楽しみ方までを分かりやすく興味深く解説している良書です。


本記事の編集に際してもところどころ同書の知見をベースに執筆させていただいた部分があります。




機会があればご一読頂くと良いのではないかと思います。


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