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チョコレートが出来るまで…カカオマス?カカオニブ?カカオバター?違いと製造法

今や空前のブームとも言えるチョコレート業界。
知人のチョコレート会社の人に聞いた話でも年々その需要は増加傾向にあるとか。


一方で農作物で作られる地域が限定されているチョコレートの原料・カカオ豆は重要の増加に対して供給には限度があり、特に品質の高いものは軒並み高騰が続き、売れ行きがよくても手離しで喜べる状況ではないようです。


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最近ハマっているショコラトリー・モランのチョコレート。板チョコ一枚で2000円くらいします・・・


そんな老若男女から愛されるチョコレートがカカオ豆というものから出来ているというのはなんとなくご存知でしょうが、
では一体どうやってカカオ豆が私たちの知るチョコレートに至るのかを知っている人はどれくらいいらっしゃるのでしょうか?


かくいう筆者もチョコレートがカカオ豆から出来て、カカオニブやらカカオバターやらをなんちゃらすると出来るということは知っていてもその細かい製法を把握していませんでした。


今回はチョコレートをより深く知るために、そんなチョコレートの製造過程を順を追って確認してみようと思います。
これを知ることでアナタもチョコレートにより深い愛情を注ぐことが出来るようになることでしょう!

チョコレートの原料はカカオ豆

チョコレートの原料はカカオ豆です。ではカカオ豆とはなにかというと、カカオの樹になる果実の中にある種のことなんですね。

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カカオの果実。

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カカオ豆。豊富な栄養価から古来より現地では滋養強壮の食材として、ヨーロッパなどでは王侯貴族にのみ許される高級食材。


カカオは西アフリカ、東南アジア、中南米をはじめとする高温多湿の熱帯気候でしか育ちません。さらに多種多様の品種が存在し、地域ごとに味の特徴が異なるためより嗜好性の高い食材として最近ではより注目度を高めています。


ビーントゥバー*1フェアトレード*2の動きやショコラティエのスター化*3に伴いチョコレート業界はお菓子の一分野というポジションから独立した食分野として認知されつつあるのではないでしょうか?

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日本を代表するビーントゥーバーブランド・ミニマル。カカオの産地やデータを細かく書き出した通好みのパッケージも魅力

カカオ豆の三品種

カカオ豆には多種多様な品種が存在しますが、大きく分けて主に栽培されている品種は三つ。


独特の芳醇な香りから近年特に高級チョコレートに使用されるクリオロ種、栽培が容易で苦味の強いフォラステロ種、この二種を配合して作られた汎用性の高いトリニタリオ種があります。

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イタリアのドモーリ社のスタンダード商品イルブレンドは6種のカカオマスを配合。ドモーリは古代種でもあるクリオロ種に目をつけ、また単一品種のチョコレート商品をいちはやく展開したブランドでもある


市場に出回っているチョコレートの多くはこれらのカカオをブレンドして作られていますが、最近では単一品種・・・さらには単一地域などに拘ったチョコレートも作られるようになりました。これらはまさにお茶やコーヒー、お酒のような嗜好品で見られる作り方と全く同様であることが分かりますね。

カカオ豆の加工~出荷まで

発酵

カカオ豆は収穫されたあと果実から種が取り出され発酵されます。発酵期間はおよそ1週間ほどと言われており、バナナの葉につつんだり木箱に入れて発酵されます。


チョコレートが発酵という工程を経ているということは意外と知られていないかもしれませんが、カカオ豆はこの工程を経ないと特有の香りを生み出してくれないんですね。

乾燥

続いて乾燥です。発酵したカカオ豆は乾燥させられます。


乾燥は発酵を停止させるために行います。そのために内部の水分を6%以下まで低下させるのだそう。これによりカカオ豆は保存性を高めて輸出することも可能になるというわけです。

出荷

こうして加工されたカカオ豆は各国の基準を満たしたかどうかの検査を受けて出荷されます。


先述したビーントゥバーなどではカカオの収穫から乾燥までの一連の流れを直接視察して農家から直接買い取るようなこともあるみたいですね。こだわりのレストランが築地市場などに出向くよりさらに前に直接農家さんのところへいって直送してもらう感じでしょうか?



さて、この時点ではまだあくまでもカカオ豆という状態です。
ではここからどのようにして私たちの知るチョコレートへと加工されていくのでしょうか?

カカオ豆の二次加工

カカオ豆は世界各国へ輸出された後にどのようにして私たちが食べる形へと成形されていくのでしょうか?
ここからの過程はメーカーによっても微妙な差異はありますが、大きな流れは一緒です。
消費者が混同しがちなカカオニブやカカオバターといった言葉もここで登場してきます。

洗浄・選別

まずともあれお掃除です。決して衛生管理された状態とは言えない収穫から出荷までの一次加工を経て、まずは殺菌やゴミとりといったところから二次加工はスタートします。


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また無数にあるカカオ豆から品質の良くないものを弾き出すのもここでの重要な作業です。コーヒーでいうハンドピック*4にあたる作業ですね。

焙煎

豆を焙煎します。この辺もコーヒーと似たような工程を経るのが面白いですね。
焙煎をすることでカカオ豆の持つ旨味や香味を引き出していきます。


メーカーのさじ加減で、作りたいチョコレートの味わいを描いて逆算しながら適度な焙煎を行っているのだと思われます。

粉砕・分離

焙煎したカカオ豆は粉砕して殻とカカオニブに分けられます。


さて、いよいよキーワードが登場しました。カカオニブ
カカオニブとはカカオ豆の胚乳です。つまり今まで加工していたカカオ豆のさらに中心部というわけ。
外皮はここで取り除かれるので当然総量は当初より少なくなるはず。


カカオニブ (有機栽培原料使用)500g

カカオニブ (有機栽培原料使用)500g

オーガニックカカオニブ 100g

オーガニックカカオニブ 100g

最近では物好きな人のためにカカオニブも売られています。カカオニブ自体はスイーツのトッピングなどにも使われることがありますね。もちろん砂糖は入っていないので苦いです。


もともとのカカオ豆から考えると実際にチョコレートの原料として使われるのはわずかであることが分かります。



また、調べたところではメーカーによって一部この作業を焙煎の前に行っているところもあるみたいです。

配合

メーカーや商品によってはここでカカオニブを複数種ブレンドします。
ブレンドすることによって単一では出せない複雑な味わいを引き出したり、より食べやすくバランスのよい味わいに仕上げます。


カカオ豆の持つ個性を活かすのであればあえてブレンドしない選択肢もあり、作りたい商品にあわせて選択されるというワケ。
極端に言えば"カレールゥを複数使うと美味しくなる"のと同じ原理です。

摩砕

摩砕はカカオニブをすりつぶしてペースト状にする作業です。
なぜ個体であったカカオニブがすりつぶすと液状に近いペーストになるのでしょう?


カカオニブは半分くらいはカカオバターという脂肪分で出来ています。
カカオバターは摩砕によって露出すると溶けて液状になり、これが残りの個体部分と混ざり合うことでペーストのような状態になるんです。


この半液状の状態のカカオニブはカカオリカーと呼ばれます。
これが冷却され固体になったものがカカオマスです。


国内のチョコレート専用メーカー大東カカオのカカオマス。言ってみれば100%カカオのチョコレートです。


さらっと出てきましたが、カカオバターはカカオ豆に含まれる油分のこと。
これがチョコレートのもつコクのもとでもあります。

ココアにはカカオバターが含まれない

ココアという飲み物があります。ココアはカカオニブからカカオバターを取り除いたもので、これを粉末にしたものがココアパウダーです。
一般販売されている溶かすだけで飲めるココアパウダーはここに砂糖や香辛料が加えられています。

フランスの超有名ブランドチョコレートメーカーのココア。美味しいです。

ココアは言ってしまえばチョコレートを溶かした飲み物ですが、カカオバターがあまり無いためくどさはなくスッキリしています
ちなみにカカオバターの入ったチョコレートを溶かした飲み物はショコラショー(ホットチョコレート)と呼ばれ、ココアよりもリッチな飲み口です。

チョコレートへいざ加工

いよいよチョコレート作りは最終工程です。
この先の工程は複数のメーカーの提示している製法を見た限りでも結構差があるみたいです。
最終的に口に入る形を作り出すプロセスなので作りたい味わいによって作り方は違ってくるのでしょう。


基本的な流れとしてはまず味付け。つまり砂糖やミルク、カカオバターの追加、場合によっては香辛料などの添加を行います。その後に舌触りを良くしたい場合はさらに細かく微細化するレファイナーという作業を行い、続いてコンチェと呼ばれる練りこみ作業でチョコレートの香り成分を引き出します。


その後テンパリングと呼ばれる作業を行い、カカオバターの結晶を安定化させます。テンパリングは非常に大切な作業で、これをうまくやらないと見た目にカカオバターが浮き出してキレイでなくなったり、舌触りにざらつきが出たりします。

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テンパリング。メーカーでは機械作業のことも多いが、ショコラティやパティシエにとっては腕の差が出る繊細な作業。


そして成形です。型に流し込んで冷却し、私たちの知っているチョコレートの形になります。

クーベルチュールチョコレートとは?

最近たまに聞くようになったクーベルチュールと呼ばれるチョコレートがあります。一般的には製菓用のチョコレートと言われていますが、その定義は"総カカオ固形分35%、カカオバター31%、無脂カカオ固形分2.5%、カカオバター以外の代用油脂を使わない"というものです。



これがなにを意味するかというと、チョコレートは二次加工の時点で口どけやコクを出すためにカカオ本来の油分(=カカオバター)以外の脂を添加することが許されているのですが、これを禁止しかつ一定以上のカカオバターを有している、つまりカカオ本来の味わいにより近いものであると言うことが出来ます。


なぜこれが製菓用として適しているかというと、要はクーベルチュールの時点では砂糖の添加など以外でほとんど余計なものが入っていないため、これをさらに別のお菓子に加工するのが容易だからです。


例えばパティシエさんはいちからカカオ豆を仕入れて加工するわけにはいきません(一部そんな変態さんもいるようですが)。
大体のパティシエさんは既存の製品化されたチョコレートを溶かしたりして生チョコやらチョコケーキを作るわけですが、
この時に例えば明治の板チョコを溶かしていたのでは自分の味を出すのは難しいのです(明治の板チョコはそれ自体が完成され過ぎているんですね)。


香辛料を入れたり、甘さを調節したり、形を変えたり、そのような作り手の自分らしさを出す加工性の高さは余計な物が入っていないクーベルチュールが適していると言うわけです。

チョコレートが出来るまで・・・

カカオ豆がチョコレートになるまでにはとても長い道のりがあることが分かりました。
ここで今回の記事のキーワードでもある混同しがちな三つの用語について改めてまとめてみましょう。

  • カカオニブとはカカオ豆を砕いて殻を取り除いたものである
  • カカオマスはカカオニブをすり潰してペースト状にしたものを冷却して固めたものである(ペースト状のものはカカオリカー)
  • カカオバターはカカオ豆に含まれる油分でチョコレートのコクのもとでもある


チョコレート作りはカカオ豆の栽培から一次加工を経て、メーカーによるカカオ豆の仕入れから二次加工、そして最終的な味付けを経て完成します。



チョコレートの知識を高めて本格高級チョコレートから身近なお手ごろチョコレートまで、より楽しくかつ味わえるようになりましょう。



最後に当ブログでのチョコレート関連の記事をリストアップしておきます。参考までにどうぞ。

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ペルーのチャンチャマイヨで作られたカカオ豆のみを使用して作られたシングルオリジンチョコレート。しかもカカオ100%なので砂糖も不使用。そんなチョコレートについての特集。


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美味しいチョコレートブランドを特集。


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お酒に漬けたレーズンをチョコでコーティングしたゲキウマチョコ菓子についての特集。おすすめ


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ベルギーのショコラティエ・ドゥバイヨルのタブレットを試食。

*1:製造者自らがカカオ豆(ビーン)を独自のルートで仕入れてバー(多くの場合主力商品はカカオの個性が出やすい板チョコ)に加工して作られるチョコレートやブランド

*2:開発途上国で主に生産されるカカオ豆を消費国である先進国が自分たちの利益のみを追求せず、生産者にもしっかりと還元する公平な取引を行うこと

*3:毎年開催されるサロンドショコラなどでは有名ショコラティエにサインを求める長蛇の列が出来るとか

*4:コーヒーの味わいを落としてしまう悪いコーヒー豆を除去する作業