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おいしけりゃなんでもいい!

身近にある美味しいものを探したい。おいしけりゃ、なんでもいいんだけれど。

愛聴歴7年の筆者がおすすめするジャズピアニスト・Bill Evansのアルバム

皆さんはジャズを聴かれるだろうか?
僕は7年ほど前に意図せず聞かされたジャズに興味を持ち、
それ以来色々なジャズを聴いてきた。


なんだか古いものに憧れる傾向がある僕がハマったのは50~60年代くらいのジャズ。
特にBill Evans/ビル・エヴァンスというジャズが好きなら誰でも絶対に知っているジャズピアニストが大好きだ。



基本的にはピアノジャズが好きで、
キースジャレット、チックコリア、オスカーピーターソーン、デュークジョーダン、ジョンルイス、デュークジョーダン
最近で言えばブラドメルドーエンリコピエランヌンツィ、ちょっと毛色は違うがチェザーレピッコなど、
ジャズピアニストとして名の通っているようなミュージシャンはひととおり聴いてきたが、
やはりビル・エヴァンスが自分の中では一番だ。



自分にとっては精神的にも肉体的にも本当に辛かった3~4年前を支えていてくれたのも、
今思えばビル・エヴァンスの音楽であったようにも思う。



そんなワケで今回は趣向を変えて僕が大好きなビル・エヴァンスのおすすめしたい名盤を超主観的な角度から時系列順(録音した年)に掲載していこうと思う。


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ジャズのCDはジャケットもアーティスティックなものが多く、並べるだけで絵になるオシャレアイテムでもある。


僕は一人で自宅で飲むときは必ず音楽をかける。
ジャズの時もあればクラシックも聴くし、ポップスの時もあるが雰囲気を作り出すうえでBGMもまた大きな要素だ。


そのような意味においても、
皆さんにはぜひ良質な空間をも作り出せるビル・エヴァンスの音楽を知ってほしい。



「ジャズはいろいろとウンチクがあって面倒くさそう・・・」という人のためになるべくシンプルにおすすめの理由とかけたいシチュエーションを述べていくだけにしたいと思うが、多分無理だと思う。


ご了承いただきたい。笑


補足になるが僕はジャズマニアではない。
エヴァンスは大好きだし、関連書籍なども読んだことはあるが、
CDのバージョンがどうとか、CDよりレコードがいいとか、そこまで細かいことには興味はない。
割とミーハーなジャズファン程度の認識でご理解頂きたい。

Bill Evans、おおすめの名盤

Explorations/エクスプロレイションズ(1961)

Explorations

Explorations

エヴァンスで最も有名な作品がリバーサイド4部作と呼ばれている「ポートレイトインジャズ」「ワルツフォアデビー」「サンデイアットザビレッジバンガードそしてこの「エクスプロレイションズ」


リバーサイドはいわゆるレーベル。
ジャズミュージシャン、特に当時のミュージシャンはしょっちゅう自分のCDを出すレーベルを変えるのだが、
レーベルによって求められるイメージやプロデューサーなどのスタッフの個性も異なるため、
なんとなく雰囲気もレーベルごとに異なっていることが多いー。


中でもリバーサイド時代はエヴァンスの比較的最初のころのレーベルながら今なお最も優れた演奏をした時代としてほめたたえられている時代。
それはエヴァンス本人が生涯通して最もイキイキとした演奏をしていたことに加え、脇を固めたドラマーやベーシストが非常に優れていたからと言われている。



リバーサイドはこの4枚以外にもアルバムを出しているが、
ドラムのポールモチアン、ベースのスコットラファロという黄金トリオでの演奏はこの4枚のみ。


エヴァンスはこのトリオを非常に気に入っていたが、この後すぐにスコッラファロが事故死するという不幸に直面することとなり、
黄金トリオでの演奏はこの4枚が残るだけとなってしまう。


個人的には4部作の中で特に好んで聞くことの多い一枚。
僕が個人的に大好きな「Beautiful love」という曲を収録しているのも好きな要因のひとつ。


リリカル(内面を表現するような)と言われるエヴァンスの演奏だが、
苦難を強いられながらも、心強いメンバーに支えられやりたい音楽が出来るイキイキとした演奏が魅力的な一枚。

Waltz For Debby/ワルツフォアデビー (1961)

Waltz For Debby

Waltz For Debby

エヴァンスを語る上で、さらにはジャズを語る上で避けて通れない名盤中の名盤。
好きなジャズの名盤は?と言われてコイツを挙げたらミーハーすぎてむしろ笑われるかもというくらい有名。


ジャズに精通していない人でも聞いたことある、知っているという方も多いと思う。


1961年6月にライブハウスの「ヴィレッジ・ヴァンガード」で行われたエヴァンストリオのライブ。中でもエヴァンス本人の特色が強く出ている曲目を選択してまとめて音源化されたのがコチラ。ちなみに対となるのが「サンデイアットザビレッジバンガード」。

Sunday at the Village Vanguard: Keepnews Coll

Sunday at the Village Vanguard: Keepnews Coll


このアルバムに関してはウンチクも多すぎるので、これ以上詳しいことはググってもらうとして、
僕がこの名盤がいいなと思うのはライブの臨場感が伝わってくる点。それも、それは必ずしもエヴァンスにとって良いことではない臨場感。


このアルバムを聴くと途中途中で観客の談笑やカトラリーのぶつかりあう音が聞こえてきて、
時には「ここにいる観客はエヴァンスの演奏をBGMにおしゃべりしたいだけなんだ」とハッキリ感じさせてくれるほどの雑音が混じっている。


そこには歴史的演奏を生で効いていると言う実感など全く感じられない
しかしそれが故にのびのびと自分達のプレイに没頭するエヴァンスの演奏は、
結果的に後世に長く語りつづけられる名盤を生み出すこととなる。


アルバムのストーリー性も感じられ、それまでアルバムを通して聴くということをしなかった僕がアルバムは通して聴くべきだと思い知った一枚でもある。

Undercurrent/アンダーカレント(1961)

UNDERCURRENT

UNDERCURRENT

スコットラファロ、ポールモチアンとの黄金トリオを失い、途方にくれながらも新しい可能性を模索する時期が続く1962年以降。
アンダーカレントはその中でも特にファンの多い一枚だ。


ギタリスト・ジムホールとのデュオ。
ジムホールエヴァンスの関係はこの後もデュオやカルテットで続いていくが、
このアルバムは終始クールで美しいという表現が似合う演奏が続く。


ジャケットが際立つアルバムとしても有名で、
このジャケットのイメージも加わってか全体通してどこか陰影のある雰囲気が、この時期のエヴァンスの内面とリンクしているように感じらるのもおもしろい。

intermodulation.hatenablog.com

アンダーカレントについてはこんなマニアックな記事もあったのでリンクしておく。

Moon Beams/ムーンビームス(1962)

Moon Beams

Moon Beams

全編がバラード集となっているムーンビームス
スコットラファロを失って以来初となるトリオでの録音。


うっとりとする優しさと憂いを同時に感じられるようなアルバムで、
リバーサイド時代に見られたようなキレッキレの印象とはまた違う、
よりリリカルでしっとりとしたエヴァンスの個性が際立つ一枚。


エヴァンスディスコグラフィを追っていると、
アンダーカレント、ムーンビームスの前後であきらかに一段階段を上がったと言うか、ふっきれたという印象をうける。


それほどまでにエヴァンスにとってスコットラファロの存在やその死は大きかったのだろうし、
それでもなお前進んでいこうとするジャズピアニストとしての決意のようなものが感じ取れる時期でもあるのではないだろうか。

The Solo Sessionns, Vol. 1(1963)

Solo Sessions 1

Solo Sessions 1

録音は1963年とアルバムのディスコグラフィーとしては中期前半の作品ですが発売されたのはエヴァンスの死後という作品。
エヴァンスほどのピアニストになると膨大な録音の中から死後になってはじめて表に出るものも少なくなく、
そこにはファンにむけて純粋に音源を公開する意味合いとビジネスとしてより長くエヴァンスという商品を利用しようという意味合いが絡み合って感じられる。


しかしファンとしては新たな作品が発売されるの嬉しいもの。
特にこのSolo Sessionnsはまるでプライベートでピアノを思いつくままに弾いているものを録音したかのような自然で飾り気のない演奏
エヴァンス特有のやわらかい音色が思う存分楽しめる作品に仕上がっているように感じる。


がっつりと聞きこむというよりはそばに寄り添うように、ふとした瞬間にかけていたいアルバムで、
そんな聞き手に必要以上に聞き込ませないラフな部分が発売されるアルバムのクオリティに厳しく目を光らせていたというエヴァンスの死後に発売されたことを感じさせる。

Time Remembered(1963)

Time Remembered

Time Remembered

こちらもエヴァンスの死後に発売されたアルバム。前半はエヴァンスのソロ、後半はライブアルバム「アット・シェリーズ・マン・ホール」と同じ日の別音源を収録した、まさにファム向けのアルバムといったところ。



このアルバムはその構成からわかるように統一感もなく、エヴァンスの作品としては少し例外的な立ち位置といえるだろうか。


特筆すべきは一曲目の「Danny Boy」。10分を超える長枠。スコットラファロを失い失意のままでいたエヴァンスがスタジオで無理やり弾いていた時期の録音と考えられており、その音色は曲の持つもともとの雰囲気と相まってより哀愁漂う演奏だ。


Danny Boyはアイルランド民謡だが、ジャズのソロピアノで演奏されると実に哀愁漂うバラードに変わるので個人的に大好きなナンバーだ。
エヴァンスの演奏ではこのソロ演奏がとくに有名だが、エヴァンス以外だとキースジャレットの演奏が有名だろう。
こちらは残念ながらCD音源化はされていなかったはず。ぜひとも音源化して頂きたいものだ。

Alone/アローン(1968)

Alone

Alone

ビルエヴァンスというピアニストを好きになるきっかけとなったアルバム。
エヴァンスは生涯を通してソロアルバムをいくつか残しているが、こちらはグラミー賞を獲得するなど名実ともにエヴァンスを代表するソロアルバム。


そもそもジャズピアノでソロというのは今でこそミュージシャンの個性を存分に表せる一分野だが、
当時はまだ質の高いソロピアノ奏者も少なく、その意味においてはエヴァンスが、もっと言えばこのアローンというアルバムがジャズにおけるソロピアノの可能性を開いた一枚とも言える。


まさにリリカルというエヴァンスの特徴を前面に打ち出した作品で、
弾むようでいてやさしく包み込むような音色が聞くものを魅了することは間違いない。

クラシックにも精通していたエヴァンスの気品も感じ取れるサロンミュージックのよう。


しっかり聞き込めば聞き込むほど味のあるするめアルバムであると同時に、ヒーリングミュージックとしてBGMに流してもじゅうぶんに機能する素晴らしいアルバム。
個人的にはエヴァンスをこれから聞く人にはワルツフォアデビーなどよりもこちらをおすすめしたい。


I Will Say Goodbye/アイウィルセイグッドバイ(1977)

I Will Say Goodbye

I Will Say Goodbye

Aloneから時代はちょっととんで70年代も末期。
エヴァンスの最期は1980年なので、死の3年前。
エヴァンス後期の代表作と言われる一枚。


晩年のエヴァンスは長い薬漬けの生活などがたたり身体はボロボロ。
この辺りから肝臓のダメージが顕著になり徐々に指も腫れてミスタッチが増えるといわれているがスタジオ録音この一枚にはそんな心配など無用。
確かな完成度が保証されている。


もはや技巧というよりも哲学でピアノをひいているような状態なのか。
この時期の彼の演奏はよく耽美的という言葉で表現されるがその評判通りただただ美しい。



うっとりと、ため息をつきながらついつい聞き入ってしまう一枚。

BGMとしてかけていたのにいつの間にか演奏に取り込まれている。そんな経験をさせてもらった特別なアルバムだ。

You Must Believe in Spring/ユーマストビリーブインスプリング(1977)

エヴァンス後期の代表作②
人によって好みは分かれるが、僕はどちらかというエヴァンスは後期の方が好き
特にI Will Say Goodbyeとこのアルバムは自分の中ではリバーサイド4部作をも超越した究極のリリシズムを感じる。


もはや悟りを開いているかのようにも思えるこの時期の作品群は、
晩年不幸を立て続けに経験したエヴァンスの苦悩、絶望といったネガティヴな側面と、
それでも表現者でいようとしてピアノに向かう希望や祈りのようなものが同居しているように感じられる。


一言で表すのであれば静謐な演奏。それは I Will Say GoodbyeからYou Must Believe in Springに至るまでの短い時期により強くなっているようにさえ思える。


妻、兄と最愛の人を立て続けに失い、己の体調にも異変を感じていた時期。
自身の死さえもどこかで覚悟していたのだろうか。

The Paris Concert: Edition One/パリコンサート(1979)

THE PARIS CONCERT 1

THE PARIS CONCERT 1

死のわずか一年前。もうそこまで迫っている死神の手を振りほどくかのように渾身の演奏をするエヴァンスが垣間見れる一枚。
この時期のエヴァンスの演奏はもうなにかを振り切っているようにも感じる。
当時指はパンパンに腫れ、ミスタッチの連続とも言われていた状況ながら、むしろ後期の作品群の中では最もはっちゃけたエヴァンスが見て取れる


ベースはマークジョンソン、ドラムはジョーラバーベラ
どちらもまだまだ若手のミュージシャンで組んだこのトリオがエヴァンスにとって生涯最後のトリオとなる。
二人の才能を信じ、時には煽るかのように演奏をするエヴァンスはきっとこのコンサートを楽しんでいたのだろうと感じられる。


僕にとってこのアルバムのBeautiful Loveは特別だ。今の自分の在り方を決定する瞬間に聴いていた曲でもある。


ジャズファンの中での地位はなんともいえないポジションになるのだろうが、
それでも圧倒的なパワーを持った一枚として、
そして、偉大なミュージシャンが死の直前に行った演奏としてぜひジャズなんて聞かないよって人にも聴いてもらいたいアルバム
だ。


下世話な言い方たが、あえて好きなCDとしてこの一枚を推せばなんとなく通っぽく聞こえるかもしれない。苦笑


エヴァンスを聴け!

とにもかくにもぜひ聴いてほしいエヴァンスのピアノ。


もしお時間のある方は、彼の紡ぎだす音楽を時系列順に聞いていってみてほしい。
エヴァンスというピアニストの魅力の理解を深めるとと同時に、
音楽という表現方法の持つ多様な可能性に改めて気づかされるはずだ。